‍クラウドコスト管理におけるクラウド・ユニットエコノミクスの重要性

従来のクラウドコスト管理では、「どれだけ支出しているか」は把握できても、その支出がどのような価値を生み出しているかまでは見えません。多くの企業では、事業成長と結びつかない大規模なインフラ投資が明らかになることがあります。さらに悪い場合には、売上を加速できるリソースへの投資が不足しているケースもあります。

クラウド・ユニットエコノミクスは、支出と事業成果を直接結び付けることで、この課題を解決します。たとえば、顧客あたりのコスト、取引あたりのインフラコスト、アクティブユーザーあたりのコンピュートコストなどです。支出管理から価値測定へのシフトにより、クラウド支出は単なる運用コストではなく、戦略的な競争優位へと変わります。

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ユニットエコノミクスとは？なぜ重要なのか？

ユニットエコノミクスは、インフラコストと事業価値の源泉（提供する顧客数、処理する取引件数、提供する製品数）との関係を分析します。これにより、「1人の顧客にサービスを提供するためのコストはいくらか」「1件の注文を処理するために必要なインフラ投資は何か」「事業成長に伴ってクラウドコストはどのように変動するのか」といった重要な問いに答えることができます。

ユニットエコノミクスがなければ、インフラ投資の判断はデータではなく勘に頼ることになります。その結果、顧客への影響がほとんどないコンピュートリソースに過剰投資する一方で、取引あたりのコストを大幅に削減できるストレージ最適化を見過ごす可能性があります。ユニットエコノミクスは、クラウド投資を事業成果と確実に結び付けるための明確な指針を提供します。

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適切なツールなしでユニットエコノミクスを算出する際の課題

手作業によるユニットエコノミクスの算出には、重大な障壁があります。最大の課題はデータの分断です。コストデータは請求システムに存在する一方、ビジネスメトリクスは分析プラットフォーム、データベース、レポーティングツールなどに散在しています。これらを統合するには高度な技術的知識が必要であり、継続的なメンテナンスも欠かせません。

時間的制約がこの問題をさらに深刻化させます。クラウドコストは時間単位で変動しますが、手作業での計算は週次や月次のエクスポートに依存しています。そのため、データから得た情報をもとにアクションを実行に移す際にはにすでに手遅れとなってしまう場合があります。加えて、人為的な入力ミスや計算誤り、統一性のないな手法によって精度が損なわれ、ステークホルダーからの信頼も低下します。さらに重大なのは、手作業によるアプローチはスケールしないという点です。事業成長に伴って複雑性は指数関数的に増大し、タイムリーなインサイトを提供することなく、リソースを消耗してしまいます。

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Octoが提案するクラウド・ユニットエコノミクスへのアプローチ

クラウド・ユニットエコノミクスは複雑でありながら、クラウドリソース活用時の事業成長や損益分岐の達成に不可欠です。Octoはこれを、明確で分かりやすい変数として整理し、シンプルにします。私たちは、ユニットエコノミクスを理解するうえで欠かせない2つの主要データタイプ、すなわちコストデータと需要データに注力しています。以下がそれぞれの定義の説明です。

コストデータは、総コストを示すもので、当社の「コストグループ」機能を通じて可視化・分析されます。この機能により、クラウドプロバイダーのアカウント、サービス、リージョン、タグなど、ビジネス構造に沿った形でクラウドコストと利用状況を管理できます。コストグループは、支出とリソース活用状況に関する深いインサイトを提供します。

需要データとは、当社の「ユニットメトリクス」機能（後述）で取得されるユニット数を指します。簡単に言えば、製品、顧客、環境、またはその他のリソースを消費するあらゆる対象の数量を示すデータです。具体例としては、日次アクティブユーザー数や注文数などが挙げられます。この「ユニット数」の定義は、貴社のビジネスメトリクスによって異なります。

これら2つの重要なデータタイプからインサイトを導き出し、事業目標の達成につなげるための「ユニットコスト」を算出します。ユニットコストは、特にクラウド環境において重要なコスト管理の概念であり、1ユニットに紐づくコストを示します。ユニットコストを正確に把握することで、組織は費用を適切に配分し、コスト削減の機会を特定し、財務の透明性を高めることができます。
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ユニットコスト ＝ 総コスト（1日あたり・コストグループ）÷ ユニットメトリクス（1日あたり）

ここまでで、私たちのアプローチの概要をご理解いただけたかと思います。次に、ユニットコストの重要な構成要素である「ユニット数」についてご説明します。

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ユニットメトリクスを活用した正確なユニットコストの算出

前のセクションで述べたように、ユニットエコノミクスを通じてビジネス機会を特定するためには、需要データ、すなわちユニット数が不可欠です。そこで本セクションでは、これらのデータを取得し、すぐにユニットコストを算出する方法をご紹介します。

ユニットメトリクスとは？

Octoのユニットメトリクスは、クラウド支出と並行して重要な事業パフォーマンス指標を統合・分析するために設計された機能です。この機能により、APIの通信数、顧客数、取引頻度、アクティブユーザー数など、多様なビジネスメトリクスを入力、連携、することができます。これらのオペレーションデータを財務データと統合することで、Octoはほんとうの意味でのクラウド投資効率性とインパクトをこれまでにない視点から可視化します。

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この機能を活用する主な目的とメリットは多岐にわたります。

• クラウド支出効率の測定：ユニットメトリクスは、単なる総コストの把握から一歩進み、クラウド支出の効率性を細かい粒度で分析することを可能にします。単に「いくら使ったか」を知るだけでなく、その支出がどの程度の事業成果を生み出したのかを明確に把握できます。この可視化は、過剰支出や無駄なリソースの活用を特定するうえで極めて重要です。

• 詳細なコストトレンドの把握：この機能は、事業運営に直結する重要なコストトレンドの算出と分析を可能にします。「顧客あたりのコスト」「リクエストあたりのコスト」「製品あたりのコスト」といった指標を追跡することで、コストの主要因を特定し、事業成長や活動状況に応じたコスト変動を把握できます。このレベルの詳細な分析は、戦略的な財務計画やリソース配分に欠かせません。

• 日次トラッキングによるリアルタイムインサイト：事業メトリクスとそれに対応するクラウドコストを日次で追跡できることで、運用効率をリアルタイムに可視化できます。この継続的なモニタリングにより、異常値やコスト動向の急変、新たな施策による即時の影響を迅速に特定できます。日次トラッキングは、事後的な対応ではなく、先手を打った調整を可能にします。

• データドリブンな最適化の実現：最終的に、ユニットメトリクスは支出最適化に関する的確でデータに基づいた意思決定を行うための基盤データを提供します。クラウドコストと主要ビジネスメトリクスとの直接的な関係を把握することで、インフラの戦略的な調整、業務プロセスの改善、リソースの効果的なスケーリングが可能となり、価値の最大化と無駄の最小化を実現します。この先手を打ったコスト管理アプローチにより、クラウド投資を事業目標と確実に連動させ、収益性と成長に直接貢献させることができます。
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これらのメトリクスをOctoに統合し活用する方法はいくつかあります。次のセクションで、その具体的な手法をご紹介します。

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多様なデータソースによるユニットメトリクス

私たちは、組織ごとにデータ管理の方法や技術的な成熟度が異なることを理解しています。そこでOctoでは、重要なユニットメトリクスを取り込むための多様なデータソースを包括的に提供し、既存のワークフローやデータに最適な方法を選択できるようにしています。目的は、データがどこに存在していても、ユニットコストの算出プロセスを可能な限りシームレスかつ効率的にすることです。メトリクスは手動でアップロードすることも、クラウドサービスから取得することも、プログラムによって自動でインプットすることも可能です。それでは、これらのオプションを順に詳しく見ていきましょう。

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• CSVファイルによる手動アップロード：自らの手でデータを管理したい組織や、社内のさまざまなシステムからエクスポートしたデータを扱う場合に最適です。このシンプルな方法は、ローカルでのデータエクスポート、社内レポート、または複数の異なるソースから集約したユニットメトリクスの値に適しています。その容易さから、非技術部門を含む多様なチームで柔軟に活用できます。

• Googleスプレッドシートとの連携：メトリクスデータをリアルタイムでOctoに直接接続できる、ダイナミックかつコラボレーションに適した方法です。データ収集や分析にGoogleスプレッドシートを広く活用しているチームに最適です。連携されたGoogleスプレッドシートの更新内容は自動的にOctoへ反映され、常に最新のユニットコスト算出を可能にするとともに、部門間での透明性を高めます。

• AWS CloudWatchからの直接取得：AWS環境に深く統合されている組織向けに、AWSアカウントからライブメトリクスデータを直接取得し、手動でのエクスポートを不要にします。CloudWatchは監視性を提供し、アプリケーションのパフォーマンスやリソース利用状況に基づく実行可能なインサイトをもたらします。CloudWatchと接続することで、CPU使用率やカスタムアプリケーションメトリクスなどの運用データをOctoに取り込み、クラウドインフラに直結したリアルタイムのユニットコストを提供できます。
  
• Telemetry APIによるプログラムストリーミング（近日公開）：リアルタイムかつ大量のデータ取り込みやプログラム連携が必要な組織向けの高度なオプションです。Telemetry APIを利用することで、メトリクスデータを継続的にOctoへ連携し、ユニットコストを即時に更新できます。特に、メトリクスが頻繁に変動するアプリケーションやリアルタイムのパフォーマンス監視に有効で、既存のデータアーキテクチャにOctoを柔軟に統合できる手段を提供します。
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ユニットメトリクスの集計方法

Octoにおける集計方法は、メトリクスの値をどのようにグルーピングし、計算するかを決定する重要な設定です。これは特に、次の2つのシナリオにおいて重要になります。

• 1日で複数のデータポイントが存在する場合：同一日のメトリクスに複数の値がある場合、それらをどのように統合して1つの日次数値としてまとめるかを決定します。
  
• レポートやチャートの粒度変更時：日次から月次など時間の粒度を変更する際に、集計データの正確性と一貫性を確保します。
  

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利用可能な集計方法：

Octoでは、異なる分析目的に対応する4種類の集計方法を提供しています。

• Sum（合計）：すべての個別値を加算して総計を算出します。
  
  • 例：5、10、15の場合、「Sum」は30になります。総売上や総ユーザー数など、合計値を求める指標に最適です。
    
• Average（平均）：すべての値の算術平均を算出します。
  
  • 例：5、10、15の場合、「Average」は10になります。日次アクティブユーザー数の平均など、データの傾向を把握する際に有効です。
    
• Maximum（最大値）：グループ内の最も高い値を選択します。
  
  • 例：5、10、15の場合、「Maximum」は15になります。ピークパフォーマンスや最高記録を特定するのに適しています。
    
• Minimum（最小値）：グループ内の最も低い値を選択します。
  
  • 例：5、10、15の場合、「Minimum」は5になります。最低記録を把握する際に役立ちます。
    

集計設定が重要な理由：

特に以下のような場合、一貫性があり意味のある、そして行動に移せるインサイトを得るためには、集計方法を慎重に選択することが重要です。

• 1日あたりのデータにデータが複数行含まれる場合：同一日の異なるデータポイントを統合する際の曖昧さや不正確なレポート作成を防ぎます。
  
• 異なる期間でデータを閲覧する場合：日次、週次、月次などの集計単位を切り替える際に、長期的なトレンドが日次データの実態を正確に反映するよう保証します。
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💡 重要な考慮事項：日次の「ユニットメトリクス」データから算出される「月次ユニットコスト」のような指標では、選択する集計方法が月次合計の算出結果に直接影響します。累計値（例：総ユニットコスト）を求める場合は「Sum」を、代表的な値（例：月間の平均日次ユニットコスト）を求める場合は「Average」を使用してください。

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ユニットコストの可視化

これまでにユニットメトリクスに関する重要な概念を説明しましたので、ここで再びユニットコストに話を戻しましょう。第1セクションで述べたように、ユニットコストは総コストをユニット数で割ることで算出されます。このユニット数はユニットメトリクス機能から取得したものですが、Octoではそれらを自動で算出し、ユーザーはOctoを確認するだけでユニットエコノミクスを把握することができるようになります。ユニットメトリクスは総コストと並べて「コストグループ」の費用と一緒に表示でき、グラフ上にカーソルを合わせれば、選択した粒度（日単位または月単位）に応じてユニット数を確認できます。これにより、事業価値や機会の特定に欠かせない総コスト（コストデータ）とユニット数（需要データ）という重要な情報を明確に把握することができます。‍

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Octoでユニットメトリクスを始める方法

クラウド・ユニットエコノミクスの理解を深め、ビジネス機会を特定する第一歩として、ぜひユニットメトリクスに関するドキュメントをご覧ください。‍

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クラウドコストを戦略的なインサイトに変える

ユニットエコノミクスは、クラウドコスト管理を事後的な追跡から先手を打つ最適化へと転換します。正確かつリアルタイムなデータに基づき、自信を持ってインフラ投資を拡大し、リソース配分を最適化し、クラウド戦略を事業目標と確実に連動させることができます。これにより、高いROIを誇るサービスを特定し、収益性に影響が及ぶ前に非効率を発見し、成長と効率性を加速させるデータドリブンな意思決定が可能になります。
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