alphaus cloud logo
FinOps
June 5, 2025

FinOps X 2025 期間中の各社ニュースを日本語でまとめる。

新井 俊悟
取締役 COO/CFO
翻訳は機械翻訳により提供されています。提供された翻訳内容と英語版の間で齟齬、不一致または矛盾がある場合、英語版が優先します。

今週は、米国サンディエゴで FinOps Foundation の年次グローバルカンファレンス「FinOps X」が開催されました。

2022年から毎年開催されている FinOps X、今年も行くことはかないませんでしたが、2日間のキーノートは幸いライブストリーミングで視聴できましたし、FinOps X のタイミングにぶつけてきた各社のリリースもまとめて見ることができたので、現地に行かずともいろいろな情報をインプットできた数日間でした。

‍さて、現地で参加された日本人の方の記事などは今後メディアやブログ等で出るかもしれませんし、6/18(水)に東京で開催される「FinOps X Day Tokyo」(本記事のラスト参照)でもいろいろと聞けると思いますので、本記事では FinOps X 期間中やそれまでの助走期間に FinOps Foundation や各社からリリースされたニュースを速報的にまとめておきたいと思います。

1) FinOps Foundation

公式には 6/2~5 の 4日間の会期のうち、フルにセッションがスケジュールされていたのは 6/3・4 の 2日間で、両日とも朝にキーノートセッションがありました。このキーノートの動画は、FinOps Foundation の Web サイト内で視聴が可能です。

ご覧になっていない方でもこのタイトルを見て想像がつくように、今年の FinOps X のキーノートのメッセージは、「Cloud+」と「FinOps for AI」の 2つが大きなテーマになっていました。それに対応するように、会期直前~会期中にかけて、FinOps Foundation からは以下の 4本のプレスリリースが出されています。

  1. FinOps Foundation Launches 2025 FinOps Framework with Scopes for Cloud+, and Adds New Premier Members Reflecting the Expanded Practice (2025年5月21日)
  2. FinOps Open Cost and Usage Specification (FOCUS) 1.2 is Generally Available (2025年6月3日)
  3. FinOps Foundation and ITAM Forum Form Strategic Partnership to Unite Cloud+ Cost Management and Software Compliance (2025年6月2日)
  4. FinOps Foundation Launches "FinOps for AI" Training Series and Certification (2025年6月3日)

1-a.「Cloud+」

今回の FinOps X に先立って、今年 3月には 2025年版の「FinOps フレームワーク」改定が発表されており(FinOps Framework 2025)、そこではすでに今回のテーマのひとつ「Cloud+(Cloud+ のアプローチ)」が語られていました。曰く、

FinOps フレームワークは、テクノロジーへの支出管理への Cloud+ のアプローチへと進化する今日の FinOps の実践を反映してアップデートされました。

つまり、FinOps という方法をクラウド以外のテクノロジーへの投資・支出にも適用していこうというのが「Cloud+ のアプローチ」ということですが、Day 1 キーノートでは J.R. Storment 氏(FinOps Foundation エグゼクティブ・ディレクター)はこのような簡潔で印象的なことを述べていました。

FinOps はクラウドでの実践に根ざしている。しかしそれは、〔クラウドに留まらず〕あらゆる変動的な消費に関するものであり、それらを高速で活用するためのものだ。

4本のプレスリリースのうち、1本目はこの FinOps フレームワーク改定を対外的にも発表したものです(それ以外に Snowflake・Snowflake がプレミアムメンバーになったことなども含まれています)。

また、このフレームワーク改定では「Scope」(FinOps の実践者たちが FinOps 概念を適用するテクノロジー関連支出の分野)という新たな概念が追加されていて、この Scope がいまのところ「パブリッククラウド」「データセンター」「SaaS」の 3つから成っていることを考えると、2つめのリリースで「FOCUS」が v1.2 で SaaS や PaaS に対応したというのが、「Cloud+」の文脈上にあるということが理解できます。

この 2つのリリースと比べるとあまり注目を浴びていないようにも見えますが、FinOps の類似領域にある IT資産管理(ITAM)を主唱する NPO でありコミュニティの ITAM Forum と FinOps Foundation が戦略的提携を発表している 3つめのプレスリリースも、まさしくこの「Cloud+」の文脈上に位置づけられます。

1-b.「FinOps for AI」

もうひとつの大きなテーマは AI(特に FinOps for AI)だったわけですが、これについては FinOps Foundation の CTO である Mike Fuller 氏が Day 2 キーノート冒頭で、AI 領域のコストを FinOps で扱うことは「まったく新しいことであり、同時に、これまでとまったく同じだ」と語っています。ここには「Cloud+」の方向が AI にも向かっていることが含意されており、上述の FOCUS 1.2 でトークンなどを仮想通貨として扱うことにしたのも、FinOps for AI との関わりだと察せられます。

さて、今年の FinOps X でも Day 1 のキーノートで、J.R. 氏が「Advancing the people who manage the value・ of cloud」という FinOps Foundation のミッションについて語っていましたが、FinOps に関わる人々の能力開発を重視する FinOps Foundation では、AI という FinOps にとっての新たなフロンティアが出てきたときに、取り組み方をトレーニングする方向に行くことは非常に自然です。長らく「Coming Soon」と言われていましたが、Day 1 のキーノートでついに「FinOps for AI」に関する新たな学習コース・認定資格が発表されました(4つめのプレスリリース)。

2) クラウドサービスプロバイダー各社

Day 2 キーノートの後半では、各クラウドサービスプロバイダーの担当者が次々と登壇し、最新のアップデートや直近の取り組みについて紹介していました。なお、FinOps Foundation の公式ブログ にも各社のアナウンスがまとまっています。

2-a. AWS

AWS は、FinOps X 開催前週からコスト関連のアップデートを毎日のように出していました(下記1~7)。AWS Secrets Manager 上のシークレットにコスト配分タグが利用可能になったり(同1)、AWS Pricing Calculator が GA(同2)になったなか、X などを見ていると Cost Explorer の新機能「Cost Comparison(コスト比較)」で前月比表示、大きな変動の自動検出、要因特定ができるようになった(同3)に関心が集まっていたようです。

  1. AWS Secrets Manager announces support for cost allocation tags for secrets (2025年5月27日)
  2. Cost Optimization Hub now supports Savings Plans and reservations preferences (2025年5月28日)
  3. AWS Cost Explorer now offers new Cost Comparison feature (2025年5月29日)
  4. AWS Pricing Calculator, now generally available, supports discounts and purchase commitment (2025年5月30日)
  5. Cost Optimization Hub supports recommendations for Amazon Aurora (2025年6月2日)
  6. AWS Compute Optimizer now supports Aurora I/O-Optimized recommendations (2025年6月2日)
  7. CUDOS ver 5.6 (LinkedIn ポスト; ドキュメント; 2025年6月2日)
  8. Amazon Q Developer now helps customers optimize AWS costs (2025年6月3日)

会期が始まってから、Cloud Intelligence Dashboard(CID)の責任者の方が個人の LinkedIn アカウントで、Amazon QuickSight 上で構築するコスト可視化ダッシュボード「CUDOS」の ver 5.6 を発表していました(同7)。これと Cost Explorer のコスト比較機能あたりが FinOps X に合わせた FinOps 関連アップデートのハイライトかなと思っていましたが、Day 2 キーノートではさらに、開発者向けアシスタントツール Amazon Q Developer が AWS Cost Optimization Hub をもとに AWS コストの最適化のレコメンデーションを提供開始したことが発表されました(同8)。

2-b. Microsoft

Microsoft は、Day 2 キーノートの発表で開発者・IT部門・意思決定者というペルソナそれぞれに向けたアップデートをしていました。開発者向けの GitHub Copilot によるアプリケーションのモダナイゼーション強化(ドキュメント)や、IT部門向けの App Modernization Guidance(ドキュメント) がコスト効率も考慮した意思決定に役立てられるといった、周辺領域の話から始まった印象がありましたが、登壇者が「ここにいる参加者たちはコスト最適化とか価格とかが気になるんでしょ」と前置きをしたうえで、特定のスループット使用量に対するコミットメントベースのディスカウントである Azure AI Foundary Provisioned Throughput Reservation がまもなく利用可能になることをアナウンスしていました。

FinOps X での発表事項からは離れますが、FinOps X 会期前後にも Azure の FinOps Blog はかなり頻繁に更新されていて(解説記事もあり、必ずしも新たなアップデートばかりではないですが)、個人的にはもっとこのあたりを触れても良かったんじゃないかなとも感じます。

  1. Getting started with FinOps hubs: Multicloud cost reporting with Azure and Google Cloud (2025年5月27日)
  2. How to control your Azure costs with Governance and Azure Policy (2025年5月28日)
  3. Learning FOCUS: Prices + quantities (2025年5月28日)
  4. What's new in FinOps toolkit 0.11 – May 2025 (2025年6月5日)

2-c. Google Cloud

Google Cloud からの発表内容は、Google Cloud Next 2025 が 4月に開催されたばかりということもあり、Gemini Cloud Assist や FinOps Hub 2.0 などは発表済みの内容が主だったように思いますが、新たなアナウンスとして FOCUS 1.0 対応のフォーマットでの Billing BigQuery Export のプライベートプレビューが発表されました(プレビューの参加フォーム)。

  1. Germini Cloud Assist for FinOps (Public Preview)
  2. FinOps Hub 2.0 (Public Preview)
  3. FOCUS Billing BigQuery Export (Private Preview)

2-d. Oracle Cloud

去年までは上記のベンダー 3社のみでしたが、今年から Oracle Cloud も「主要クラウドプロバイダー」の一角の座を占めて FinOps X に参加したことは大きな変化の一つだったと思います。Oracle Cloud の発表内容はいずれも基本的な FinOps 関連機能の紹介だったように感じられましたが、ここからスピーディーにキャッチアップしていくんだろうなあと思わされます。

  1. Carbon Emissions Reporting(ドキュメント
  2. Cost Anomalies (Cost Anomaly Detection)
  3. Cost Categories(ドキュメント

3) お知らせ:FinOps X Day Tokyo

さて、FinOps X 2025 も終わりを迎えたわけですが、6月18日(水)に FinOps Foundation 主催の終日イベント「FinOps X Day Tokyo」が東京・お台場で開催されます。「FinOps X Day」は、FinOps への各国での関心の高まりから、各地で開催されるようになった 1日完結型のイベントです。東京は、今年4月のロンドンでの開催に続く 2つめの開催地です。

「FinOps X」の直後での開催ということで、FinOps Foundation エグゼクティブディレクターの J.R Storment 氏によるキーノートでは、FinOps X の recap なども聞けるのではないかと思っています。

まだまだ日本では黎明期にある FinOps の最新動向を1日でキャッチアップできる、学びとネットワーキングに満ちたイベントとなる FinOps X Day Tokyo、いまも参加登録受付中です。

よく聞かれるので、以下 FAQ です。

  1. ‍申込みページは FinOps Foundation サイト内のため英語ですが、セッションのほとんどは日本語でおこなわれます!
  2. 有料($50)ですが、ネットワーキングのための朝食・ランチ・パーティドリンクも込みの価格です。
  3. ‍参加登録フォームでは、登録種別を聞かれますが、以下に沿って当てはまるものを選んでください。
    • Practitioner:企業内で自社の FinOps に従事されている方(FinOps Foundation の「認定プラクティショナー」資格を持っているかどうかは関係ありません)
    • Member Vendors:FinOps Foundation のメンバー企業(一覧)の方
    • Non-members:1・2 に当てはまらない民間企業の方
    • Government Employees:公共セクターの方

FinOps にご関心のあるみなさまのご参加をお待ちしております!

Table of contents

Other articles

Cloud reselling
AWS
Azure
GCP
November 9, 2022
パブリック・クラウドのリセラーが抱えるクラウドコストの課題
Read more
Cloud Cost Optimization
February 22, 2023
DXはコスト削減に繋がるのか?
Read more
FinOps
GCP
August 15, 2023
Google Cloud主催のCCoE Summit 2023レポート
Read more